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レポート

2023.08.13

【レポート】「PEACEFUL PARK -Charity for Happy Inclusion 2023-」延べ7,000人の観客を動員

フェス真っ盛りの季節に、音楽を中心とした注目すべき複合イベントが産声をあげた。音楽やアート、食を通じて互いのことや社会のこと、世界のことをともに学び、語り合い、平和へのメッセージを紡ぐ、それが『PEACEFUL PARK』だ。

 

MISIA、男闘呼組、Rockon Social Club、Little Black Dressなど多彩な顔ぶれのアーティストが集結したこのフェス。自然豊かな河口湖ステラシアターを舞台に、まず出迎えてくれたのが、明石家さんまのハッピーな笑顔が炸裂したモニュメント「生きてるだけでまるもうけベル」だ。大笑いしたように、大きく開けた口の中に鐘があり、それを鳴らすと幸福になれる!?という縁起もの。

 

 

目を移せば「PEACEFUL TABLE」と題された屋外レストランがオープンしている。

 

 

さらに「PEACEFUL SCHOLARSHIP」という子どもや若者たちのためのプロジェクトのドネーションボックスも設置され、多くの人の共感を得ていた。

音楽を楽しみ、平和について想いを馳せるインクルーシブな祭典『PEACEFUL PARK』が刻んだ大切な一歩。ここでは8月5日の様子をレポートで伝える。

 

 

【LIVE】

オープニングアクトで登場した4人組ヴォーカルグループのQUMANOMIのパフォーマンスに続いて本編トップバッターは、Little Black Dress。1曲目はすでにライヴで披露されて話題となっている「リスキードライブ」。Ryo(Vo&Gt)とMoe(Gt)のステージングは一挙手一投足が美しく、観る者、聴く者を一瞬で虜にする魅力がある。最後に披露したのは松原みき「真夜中のドア〜stay with me」などをミックスした「シティポップメドレー」。時代と世代を超えた音楽の魅力を存分に見せつけたステージだった。

QUMANOMI
Little Black Dress

転換中には、ステージ正面のビジョンに“メッセージのリレー”とも呼ぶべきプログラムが映し出された。『PEACEFUL PARK』のキャッチコピーに、テレビなどで活躍する有名な芸人やスペシャルオリンピックス日本で活躍する知的障害のあるアスリートの方々、そして一般の方まで、年齢、性別、国籍を超えた多様な人々が自由にメロディをつけてアカペラで歌ったり、バンドや打ち込みで演奏したり、朗読したりと、自由な表現でバトンを渡していった。

ステージ上では機材トラブルが発生し、スタッフの動きが慌しくなる。そんななか悠然と現れたのは清水ミチコ。 「こんなとき使いやすいのが清水ミチコですよ。お任せください!」と言ってオーディエンスの笑いを誘う。「100年使える声の歌」など、ひとりフェス状態で会場を大いに盛り上げた。

 

清水ミチコ

 

ハードなサウンドに乗せてステージに登場したのは、男闘呼組のメンバーを中心に結成されたRockon Social Club。Rockon Social Clubのメンバーは、前日4日(金)にはそれぞれが所属するバンド、ADDICT OF THE TRIP MINDS、MOUNTAIN MAN、そして男闘呼組として出演し会場を沸かせたが、Rockon Social Clubとしては5日(土)が初出演となった。

Photo by SANTIN AKI
ADDICT OF THE TRIP MINDS
MOUNTAIN MAN
男闘呼組

 

1曲目は、7月21日(金)に配信リリースされた新曲「ザ・ファイター」。ホーン隊が加わった演奏は煌びやか で、ファンク的なハネるビートが新鮮なロックナンバーだ。

各プレイヤーの個性がバチバチにぶつかりひとつのサウンドになっていく様がそのままライヴになっている。「BACK IN THE CITY」では、ソロを各パートで1小節ずつまわしていくと、青山英樹のドラムソロへ。高速ダブルペダルの轟音に熱狂が加速していく。ドラムソロ明け、カウントもなく サビから演奏が同時に始まる。曲終わり、岡本と高橋が言葉を交わしハイタッチをしている姿が印象的だった。

未来の子どもたちへ向けたメッセージソング「遙か未来の君へ」の曲間で、高橋がこう呼び掛けた。

「今、世界では戦争が続いています。でもこの日本は音楽を通じて幸せを実感できる環境にあります。だからこそ今ここから世界に向けて“平和になりますように”という祈りを込めて一緒に歌ってください」

 

Rockon Social Club

 

スムースなグルーヴが夕闇の中に溶け出すと、会場にはクラップが鳴り響き、そのなかにMISIAが登場した。1曲目は「陽のあたる場所」。さらにホイッスルボイスに導かれて「つつみ込むように…」へ。今回は盟友とも言える ジャズトランペッターの黒田卓也をニューヨークから招き、スペシャルなバンドで彩あふれる音楽を紡いでいくと、 曲終わりにはコール&レスポンスで一体感を高めていった。

 

MISIA

 

黒田卓也がライヴアレンジした「BELIEVE」は、一言で最高だった。アフロジャズ風に解釈されたサウンドは、それぞれのパートが自由に演奏しながら同じ方向を向いて歩んでいるような、音楽の本来持つプリミティヴなパワーと自由さに満ち、まさに『PEACEFUL PARK』が伝えようとしているメッセージが音そのもののなかにあった。

「人をすごく好きになったり、誰かを大切にしたいと思ったり、そういう素直な気持ちを伝え合っていつしかお互いにその想いに“ありがとう”って言い合えることって、ピースフルな世界を目指すうえでの基盤になることだなと思います」と言って披露したのは、9月1日(金)に配信リリースされる新曲「愛をありがとう」だ。親密で優しい言葉とメロディが心に染み入るバラードだ。ラストの「アイノカタチ」まで、最高にピースフルなライヴだった。

アンコールには、9月1日(金)にリリースされるMISIAとRockon Social Clubがコラボレーションした、NHKラグビーワールドカップのテーマソングとなっている「傷だらけの王者」をライヴ初披露した。

 

MISIA & Rockon Social Club

 

「平和の次の最高のステージにみんなで行きましょう!」(MISIA)

その想いは確実に誰かに伝わっていく。

 

【PEACEFUL SCHOLARSHIP】

「PEACEFUL PARK」が立ち上げた「PEACEFUL SCHOLARSHIP」は、子どもや若者たちへ新たな学びの機会や違いを楽しむ経験を提供するためのプロジェクトだ。参加アーティストの賛同もあり、会場の入り口にはロゴをあしらった1m四方のドネーションボックスが設置され、募金に協力する多くの人の姿を見ることができた。

さらにPEACEFUL PARKのオリジナルTシャツも、販売価格のうち¥1,000がこのプログラムの活動に充てられる。我々の行動がダイレクトに未来の子どもたちの笑顔につながっていることが実感できる取り組みであり、この『PEACEFUL PARK』を特徴づける根幹の部分だと感じられた。

【PEACEFUL TABLE】

PEACEFUL PARKならではの取り組みとして、もう1つ、「食」に関するプロジェクトも実施されていた。それが「PEACEFUL TABEL」だ。「1つの”テーブル“に集って食事や会話を楽しめば、さまざまな違いを超えて、幸せな時間を共有できる。」そんな理念のもと、銀座の有名店「マルディグラ」のオーナーシェフ・和知徹氏が監修した料理がキッチンカーで提供され、開演前に多くの人で賑わっていた。

終演後は、会場近くに設けられた特別な会場で、”THE NATURE“と題された料理が振る舞われた。メニューにも地元山梨の食材やドリンクがふんだんに使われ、50名の来場者が極上の料理に舌鼓を打ちながら、互いに打ち解けあい、楽しい時間を過ごしていた。それはまさにテーブルに集い、幸せな時間を共有する、PEACEFUL TABELを体現する空間だった。

 

 

「PEACEFUL PARK」は3日間で7000人を動員した。平和を新しいフェスが素晴らしい一歩を刻んだ。

 

 

文:谷岡 正浩(たにおか まさひろ)、
PEACEFUL PARK実行員会スタッフ
写真:木内 和美(きうち かずみ)、SANTIN AKI

本イベントに関するお問い合わせ先

info@peacefulpark.jp

 

PEACEFUL PARK 実行委員会
Copyright © 2023 PEACEFUL PARK All Rights Reserved.

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